■ 2021-04-30

Friday Special Report~山口県立萩美術館・浦上記念館編~

待ちに待ったGWがやって来ましたね!(お仕事の方は本当にお疲れ様です!)
今年のGWは、合間にお休みを取れば最長で11連休にもなる方もいらっしゃるみたいですね(#^.^#)

それだけ長~いお休みがあれば海外旅行にも行けちゃいそうですが…コロナ禍のこのご時世としては長距離の移動はやはり難しい……。
しかし!地元に居ながらも海外の空気を感じられる場所はあるんです。

リポートで伺った場所は萩市・山口県立萩美術館・浦上記念館
現在、萩美術館では19世紀後半にヨーロッパで流行したアール・ヌーヴォー作品を約170点 集めた特別展【ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ―日本を夢見たヨーロッパ工芸】を開催中です。

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アール・ヌーヴォーとは19世紀期後半から20世紀初頭にかけてフランスやベルギーなどヨーロッパで誕生した新たな美術様式。発症はイギリスからだとも言われています。
お話を伺った学芸員の柿添康平さんによると…19世紀初頭に起こった産業革命により物資の大量生産が安価で可能になったことと引き換えに、世の中には多くの粗悪品も出回ることになった時代があったのだそうです。
それでも審美眼に優れた上流階級には高級でも質の良いモノを求める層が一定数存在していたとのことで、グラスや香水瓶などの工芸品から建築に至るまで…芸術性の高さを追及する富裕層に応えて芸術家達が生み出し様式こそが≪アール・ヌーヴォー≫だったのです。

アール・ヌーヴォーのモチーフの主なキーワードは【エレガント】【動植物】。
滑らかな曲線を描くランプやグラスを目にされたことがある方も多いはずです(#^^#)アーティストで言うとミュシャやガレやクリムトが有名でしょうか…(←柿添さんに良い影響を受けて勉強中::)
このアール・ヌーヴォーは実は浮世絵や漆蒔絵をはじめとする我が国・日本美術が大いに影響を与えているのだそうです。

例えば日本の浮世絵には鳥獣戯画など動植物が描かれていたことが多いですが、当時のヨーロッパでは動植物は背景に描かれるものとして認識されていたり、芸術的にではなく“博物学的に”写実表現されることが一般的でした。この島国のデザイン性(ジャポニスム)がヨーロッパのアーティストには斬新に映ったようで、積極的にアール・ヌーヴォーの作品作りに取り入れられていきます。

う~ん…私達、日本人の(ご先祖様の)美的感覚が欧米にも通用したのだと思うとちょっと誇らしいですよね。

今回の特別展のポスターにも大きく乗っている(そしてフォトスポットにもなっている)、孔雀の羽根模様が描かれたメタリックブルーの美しいグラス・孔雀文花器はアクセサリーブランドとして有名なティファニーのディレクターが手掛けた品。この孔雀の羽の模様(ピーコック柄)も日本の動物画からインスピレーションを受けています。

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足元に放たれる虹彩は金属を吹き付ける手法で人工的に施されたものです。
同じく展示されている作品の中では敢えて花を平面的に描いているエミール・ガレの作品にも言えることですが…このファブリルガラスは眺める角度によって輝き方が異なって見えるので、是非様々なアングルから現物を見つめていただきたいです(*^o^*)
来館者様に様々な捉え方を楽しんでもらえるようにと、照明の当て方も工夫されています!おもてなしの文化、ジャポニスム!

自分なりの解釈で作品に触れる楽しみ方もありますが♪知れば知るほど奥深いアートな話は、専門家から“知識”として詳しく教えてもらうこともオススメです。
5月2日・16日/6月6日・20日(いずれも日曜日)11:00~12:00には学芸員の方によるギャラリーツアーも開催されます。
作品について一歩踏み込んで学んでみたい方、より深いアートの話を聞いてみたい方は電話にて事前予約の上、ギャラリーツアーへご参加ください★
きっと新たな発見があるはずです。

今回展示されている作品は、国立ブタペスト国立工芸美術館からはるばる空の旅を経て初来日(!)した貴重な作品ばかり。
海外へ足を向けることが難しい今の時期だからこそ海外のアートを地元でじっくりと味わってみてはいかがでしょうか(*^▽^*)


【ブタペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ ―日本を夢見たヨーロッパ工芸】
4月24日(土)~6月20日(日)
山口県立萩美術館・浦上記念館
℡ 0838-24-2400


| Category: Friday Special Report | posted at 23:50 | by 瀬来未央 |

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