■ 2021-05-07

Friendy Special Report~山口県立美術館編~

5月5日の端午の節句にご自宅に兜飾りを出されたご家庭も多かったのではないでしょうか(#^.^#)
兜といえば「勇ましい」「凛々しい」というイメージとイコールになりそうですが…いま、山口市の山口県立美術館にはこれまでになかった「格好良い」という一言だけでは収まらない超個性的な兜や鎧が大集合しているんです!

6月13日(日)まで開催予定の野口哲哉展【This is not a samurai】
兜や鎧を纏っているのに侍ではないとはどういうことなのでしょう?
学芸員の斎藤郁夫さんに詳しく伺いました。

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制作者の野口哲哉さんは1980年、香川県生まれ。広島市立大学芸術学部で油絵を専攻され、平面作品も立体作品もお得意とされる新進気鋭の現代美術家さんです。ニューヨークで個展も開かれたことのある実力派。

鎧兜を着た人物の立体作品を多く手掛けていらっしゃいます、が、この鎧兜のバリエーションが豊富で思わず二度見してしまうようなモノばかり。
鎧を着用している人物の大きさも、小指サイズの作品から所謂リカちゃん人形サイズ、更にもっと大きな作品までと多種多様。縮尺に関わらず、全て足先の肌の色まで精巧にリアル造り上げられています(手の平の生命線や私たちの髪の毛よりも細~い脛毛まで再現されていて驚きでした(@_@))。
立体作品の素材は全て樹脂粘土なのだそうです。
制作途中の貴重な様子は展示スペースで流れている映像で見ることができますが、顔の彫りまで指先ですいすいっと彫っていく手技は正に現代の超絶技巧!(もちろんこのスキルを身に着けられるまでに相当な修行を要したのでしょうが…!)彫刻作品という表現がとてもシックリきます。

★野口さんの作品制作にまつわる動画は山口県立美術館HP特別展特設ページにもアップされていますよ(*^▽^*)

是非、美術館で実物をご覧になっていただきたいのですが特別展で目にできる作品の一部を少しだけ作品をご紹介すると…ウサギ耳やネコ耳が付いた痛兜(?!)、鎧×ラフなシャツとデニムにヘッドホンという現代ファッションの組み合わせ、高級アパレルブランドや世界的に有名なクルマメーカーと鎧兜のコラボ、掛け軸や洋絵画風の「クスっと笑える」平面作品などなどが約180点、飾られています。
文字に書き起こすだけでも「鎧兜」の堅いイメージとかけ離れた面白さが詰まっている気がしますが、この鎧兜を装備している“中の人”の表情や仕草にも注目してほしいのです!

鎧兜といえば重厚な鉄の塊を纏って己をガードする姿を思い描きませんか?それがここに佇んでいる作品たちは全て…あぁ、街中にこういうオジチャンいるよね。という、どこか既視感がある人物ばかりなのです。
哀愁が漂っていたり、途方に暮れたような表情をしていたり、反対に何も考えていないようなどこか呆けたような顔付きに見えたり…凡そ合戦上でお目に掛かることができない、しかし日常には「よくいるよね!」と親近感が湧きそうな“普通のオジチャン”がいっぱい。
正に副題の【This is not a samurai】というフレーズの通りです(*^-^*)
普段はなかなかスポットの当てられることのない感情…疲労や憂いや悩まし気な一面、そしてそこに込められる“愛嬌”にこそ心を掴まれるのだと斎藤さんも目を細められていました。

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【野口哲也展 This is not a samurai】
4月15日(木)~i6月13日(日)
@山口県立美術館
℡ 083-925-7788

特に共感できる!という一体は、鑑賞される方それぞれかと思うので是非ご自分だけの推しの一体を見つけてみていただきたいです(^o^♪
私たち現代人も無意識に着用している兜の重さによって身動きが取れなくなる前に、たまには心の鎧を脱いでホッと一息つくことも大切かもしれませんね。


| Category: Friday Special Report | posted at 23:39 | by 瀬来未央 |

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