萩美術館・浦上記念館を訪ねて
第20回リポートの舞台は、萩美術館・浦上記念館に来ています。萩美術館・浦上記念館の学芸員、後藤さんにお話を伺いました。
特別展「躍動するアジア陶磁器」とは?
東京都町田市にある町田市立博物館が所蔵する中国陶磁と東南アジア陶磁のコレクションの中から厳選された名品135件を紹介する展覧会です。特に東南アジア陶磁器コレクションは国内外で高い評価を得ており、東南アジア陶磁器の多彩な表現が見られるコレクションとなっています。東南アジアでは、これまで多くの王朝や民族が盛衰を繰り返し、多様な文化が形成されてきました。東南アジアで生まれた焼き物も、そうした多様な文化を反映した独自の表現が見られます。

今回の展覧会で注目すべき作品について
「灰釉兎形壺・黒釉兎形壺 他、クメール 12〜13世紀」こちらは12世紀にインドシナ半島大半を治める大帝国となったクメール王国の陶器です。クメール王国は、カンボジアのアンコールという都市を中心に栄えたことから、「アンコール王朝」とも呼ばれ、世界遺産となっているアンコール・ワット遺跡は有名です。クメールでは他に類を見ない独特なスタイルを持つ陶磁文化が栄え、とりわけ兎、鳥、象など動物を模った容器は、生き物の姿を的確に捉えながらも、器としてクメール独自の優れた造形となっています。
その他の注目作品ついて
「青花牡丹文盤 ベトナム 黎朝 15世紀」こちらは、ベトナムで作られた青花(染付)の大皿です。ベトナムでは、中国の青花磁器を模倣した作品が14世紀から作られてきたのですが、このベトナム青花の大皿は、そうした中国の模倣から離れ、ベトナム独自のスタイルが確立した15世紀の精緻な作品です。ベトナムの青花は中国の青花のように磁器ではなく、半磁胎で作られた陶器に近いので、大変親しみやすい優雅な趣が感じられます。

ギャラリーツアーについて
展覧会会期中の毎週日曜日、午前11時〜正午の60分程度で実施。事前申し込みは不要ですが観覧券が必要です。約60分のツアーで、出品作品について丁寧に解説されます。解説内容は大きく年代順に6章で章立てし、それぞれの章で焼き物の技法や彩色表現に注目し、同じ技法でありながら中国陶磁と東南アジア陶磁のそれぞれの地域ごとに生み出されたバリエーションをご覧いただき、ダイナミックに展開するアジア陶磁の世界を楽しんでいただく構成となっています。各章ごとに作品についてわかりやすく解説されますので、じっくり楽しみたい方は是非ツアーに参加してみてください。
キッズ体験コーナー「萩美でアジア体験」とは?
展覧会の期間中、萩美術館の1階エントランスに東南アジアのおもちゃや楽器、衣服、生活雑貨を手に取って遊べるコーナーを設置しています。子どもから大人まで楽しめる、カラフルで不思議な世界を楽しめます。夏休みにはお子様と是非一緒に来場してみてください。
萩美術館・浦上記念館の特別展「躍動するアジア陶磁展」の詳細について
日時:9月23日まで開催中
開館時間:午前9時から午後5時まで
会期中の休館日:8月18日・25日・9月8日・16日
※詳しい詳細は萩美術館・浦上記念館のホームページをご確認ください。
20回目のリポートについて
貴重でさまざまな東南アジアの陶磁器を見る機会を頂けて嬉しかったです。特徴的なデザインや技法の伝統を感じられたのは新鮮でした。夏休みも後半に差し掛かってきましたので、是非ご家族やご友人と貴重な陶磁器を見に足を運んでみてください。
次回のリポートもお楽しみに😃

萩美術館・浦上記念館
萩市平安古町586−1
Tel. 0838−24−2400