萩美術館・浦上記念館を訪ねて
第56回リポートは、萩美術館・浦上記念館の学芸員、吉田さんにお話を伺いました。
現在開催されている特別展について
開館30周年記念特別展『ローアイランド・スクール・オブ・デザイン美術館所蔵ロックフェラー・コレクション花鳥(かちょう)版画展北斎、広重を中心に』です。会期は5月31日までとなっています。
展覧会について
江戸時代に人気を集めた”花鳥版画”にスポットを当てた展覧会です。花や木々、鳥や虫など、自然の美しさを描いた作品が並びます。今回は葛飾北斎や歌川広重といった浮世絵版画を代表するだけでなく、今では日本美術を象徴しているといってもよい絵師たちの作品を中心にご覧いただけます。詳しい解説を聞きたい方は学芸員によるスライドレクチャーが明日16日午後1時半からあります。更に毎週日曜日には学芸員によるギャラリーツアーも開催されています。作品の背景や見どころを詳しく知りたい方におすすめです。
花鳥版画の特徴について
江戸時代に花鳥画が流行しました。その理由には、中国の色鮮やかで写実的な花鳥画が日本に伝えられ大流行したこと、西洋から博物学が伝えられて科学的な視点で植物を観察して記録する絵が描かれたこと、外国産の珍しい鳥が輸入されて見る機会が増えたなど、いくつか要素が考えられるそうです。庶民が楽しんだ浮世絵版画でもそうした流行をいち早くとらえて花鳥画が描かれました。実は、歌川広重は風景画が有名ですが当時は花鳥画の方が有名で人気が高かったのです。日本国内で花鳥版画が所蔵されている数が少ない為、とても貴重なものです。
葛飾北斎の作品について
この作品は葛飾北斎の『芥子(けし)』です。花の茎が風に吹かれて大きく曲がっている形が面白いですね。北斎は風景画家のイメージが強いですが花鳥画も描いています。北斎といえば『富嶽(ふがく)三十六景』のシリーズを思い浮かべる方も多いと思いますが、同時期に花鳥画も手掛けました。広重の穏やかな詩情に溢れた花鳥画と比べると北斎は構図が幾何学的で、濃密に描き込まれていて、個性的です。花鳥画については、万人受けする広重の方が当時は人気が高かったようです。会場でもぜひ、2人の作品を比較してみてください。

ロックフェラー・コレクションについて
アメリカの大富豪として知られるロックフェラーの2世の奥さんであった、アビー・オルドリッチ・ロックフェラーが実のお父さんの遺産を元手に、仲の良かったお姉さんのルーシーさんと楽しみながら一つ一つ集めたコレクションです。アメリカでは、貴重なコレクションとして高く評価され、大切に守られてきた作品が、今回萩でご覧いただけます。約140点もの作品で構成された大規模な展覧会です。どういうところを注目して楽しめば良いかというと、浮世絵に詳しい方でなくても色彩の美しさやデザイン性だけでも十分楽しむことができます。自然を描いたものですから、アメリカの方でもわかるようなとても親しみやすい作品ばかりです。アビーさんが仲良しのお姉さんと楽しみながら、一つ一つお気に入りの作品を集めていったように皆さんもご自分の好きな作品を見つけてじっくりと楽しんでみてください。
56回目のリポートについて
魅力的な花鳥や自然の版画は見るだけで心が癒されましたよ。お気に入りの作品を見つけれたらもっと楽しめそうですね。ぜひ皆さんも5月31日までなので貴重な作品を観に足を運んでみてくださいね。次回のリポートもお楽しみに😃

萩美術館・浦上記念館
萩市平安古町586−1
Tel. 0838−24−2400
